- 第八話『私がモンスターに? エロジームの最後!』 -






「ウムムム… こう失敗続きじゃと
  オルダー様の怒りに触れるのは時間の問題…」

暗黒魔界デスマドー魔法技術主任エロジームは研究室で頭を抱えていた。

「オルダー様はジャスリオンは女子高生だと仰っていた。
  ならば、ダークウィッチが通う学校を襲ってみるかの。
   下手な鉄砲も数を撃てばなんとやら…
    女子高生でモンスター軍団を作るのも悪くない
     ヒヒッ… ヒィヒッヒッヒッヒッ…」




第八話『私がモンスターに? エロジームの最後!』




「遅刻だぁ!! 千尋、先生まだ来て…」

朝、教室に飛び込んだ雷純玲(イカズチ スミレ)はその異様な空気に足を止めた。

「み、みんな? ど、どうしたの…かな?」

大人しく席に着いたまま微動だにしない友人たち。
純玲の心に言い知れない不安が湧きあがる。

「おやおや まだ1人、残っておったか」

佇んでいる純玲に教壇の方向から訳の分からない言葉が飛んで来る。
そこに立っているのは担任教師大河内真奈美だったが
その声は真奈美の声ではなく、聞き覚えのある年老いたしわがれた声。

「真奈美先生? !? そ、それは!! そのペンダントは!!」

大河内真奈美の首に掛けられている
見慣れた紋様が刻まれた金のペンダントに純玲の声に力が入る。

「ホォ 『デスマドー』の紋様を知っているとは ただの小娘ではないようじゃな」

真奈美の背後から白衣を着た老人
暗黒魔界デスマドーの老博士エロジームが姿を現す。

「デ、デスマドー エロジー…ハッ!」

思わず老博士の名前を口にしてしまった純玲は慌てて口を押さえた。

「ホホォ ワシの名を知っているとは ヒィヒッヒッヒッ…
  よもや いきなりカードを引き当てるとは思わなかったわい。
   我らを知る小娘、お前がジャスリオンじゃな」
「な、なにを言ってるのかしら この」
「我がシモベたちよ その小娘を捕らえよ」
「エッ!? な、なに、止めて、どうしたのよ!
  ウ、ウソ!! みんなにもペンダントが
   みんなエロジームに操られて! 放して、みんな手を放して!!」

背後から首を、左右から両腕を女子高生とは思えない力で掴まれ
体を捩るくらいでは振り解けなかった。

「無駄じゃ その娘たちにはデスマドーの魔力を分け与えておる」
「ペンダント! ペンダントでみんなを操ってるのね!!」
「ヒッヒ 魔力を纏っている限り、我らデスマドーの忠実なシモベじゃて」

嫌らしい陰湿な笑いを浮かべ近づいてくるエロジームはポケットから
金のペンダントを取り出していた。

「変身されてはたまらんからの
  ワシの研究室まで大人しくして貰おうかの ジャスリオン」
「や、止めろ!! 来るな、近づくな!! 止め あぁっ…ち、ちから…が」

デスマドーの紋様が刻まれた金のペンダントを首に掛けられた純玲の瞳から光が失せた。

「ヒッヒッヒ ゆっくりとジャスリオンの秘密を聞き出して
  その後で、お前を魔界モンスターに改造してやるわい」



「うっ…う〜ん… ここは…」
「やっと、お目覚めのようじゃな ジャスリオン」
「エ、エロジーム!!」
「お前が眠っている間にほれ お友達の改造は終わっておるわい」

エロジームの直ぐ後ろにいる2人と
薄暗い壁際に整列しているシルエットを目を細めて見やる純玲。
それがクラスメートに間違いないことが純玲には分かった。

醜いモンスターにされていない事に胸を撫で下ろした純玲だったが
彼女たちが身に着けている服、光沢を帯びた赤紫色のレオタード
蒼ざめた紫のショートブーツとグローブ、彼女たちの顔を飾る
目尻と鼻梁が尖り気味のアイマスク、その眉間には金色の
デスマドーのエムブレムが輝いている。
そしてエロジームの後ろに立っている2人だけは、マスクの隙間から
見えている目元と唇に赤紫のメイクが施されていた。

彼女たちのその姿が何を意味しているのか、純玲は十分過ぎるほど理解できた。

「みんな デスマドーに!」
「モンスターにするには、ちと勿体無い気がしたでな
  『デスマドー少女隊』デスマドーの戦闘員にしてみたわい。
   特に、この少女というにはちぃーと、年を食った女とこの娘はワシの好みでの ヒヒ…
    特別に手を加えてやったわい。 ヒィヒッヒ… のぉ、お前たち」
「「ハイ エロジーム様 何なりとお申し付け下さいませ」」

淫靡に微笑んだ2人はエロジームに歩み寄ると両膝をついて傅いた。

「千尋、真奈美先生、どうしたの! 何をされたの!!」

真奈美は勿論だったが、もう1人が親友の山咲千尋(ヤマサキ チヒロ)で
あることは、千尋自慢の美しく長い黒髪を見れば一目で分かった。

「この2人はワシの奴隷じゃ ヒィヒッヒッ… 特にこっちの年を食った方の」
「あ…あぁん…… エロジームさまぁ」
「この熟れた体、そそられてたまらんわい ヒィヒッヒッヒッヒ…」

真奈美の頭を掴み、自分の股間に真奈美の胸を押し付けると
真奈美は甘く濡れた声を上げ、嬉しそうに両手で胸を持ち上げて
エロジームの股間に奉仕をはじめていた。

「こっちの小娘も、ワシが躾けてやれば… ん?靴が汚れてしまったわい」
「わたくしにお任せ下さいませ、エロジーム様  綺麗にぬぐわせて頂きます」

陶酔した眼でエロジームを見上げた千尋は、色っぽく髪をかき上げると
エロジームの足元に平伏して嬉しそうに靴を舐めた。

「千尋、先生、そんなことしないでェ!!  このぉエロジジィー!!!
  2人に酷いことして…許さない、絶対に許さないから!!!」
「エ、エロジジィ…… ヒィヒッヒッヒ 負け犬がよく吼えよるわい
  安心せい、お前はワシの好みでないわい」

顔を引き攣らせたエロジームの手が黒く光り
純玲が磔られている台に刻まれたデスマドーの紋様が怪しく輝き出した。

「お前を魔界モンスターに改造するつもりじゃったが止めじゃ
  他の者たちと同じように心だけをデスマドーに改造してやるわい
   そうすれば、お前をデスマドーの戦士、悪のジャスリオンに出来るからのぉヒッヒ」
「うぐぅあ… だれがデスマドーに何か… うぅわぁぁぁ…頭が…頭が痛い…
  頭が割れる…割れちゃう…止めてぇ……」



そして、この施術を垣間見る二つの影があった。

「この呪符をジジィに気づかれないように貼ってくるのよ」
「ハイ かしこまりました。
  ですが、これは呪文破壊の呪符 本当に宜しいのですか?」

濃い紫のローブに身を包んだ人影に白い仮面を着けた少女が恭しく言葉を返す。

「構わないから 言われたとおりに…ね」

人影は少女と同じ紫色をした唇を重ね合わせる。

「ハ…ハイ… 全て仰せのままに…」





磔台から生み出された金色に輝くリングが純玲の頭に嵌まり
純玲の心をデスマドーの暗黒の心に塗り変える。

「ヒッヒッヒ 散々邪魔をしてくれたジャスリオンの情けない姿、これは愉快じゃて」
「エロジーム様 私も何かお手伝いを…」

白とピンクで統一されたヒダと飾り布が多くあしらわれた衣装を
纏った少女が施術を受ける純玲に近づき、何気に磔台に触れた。

「止めい! 触る出ない、ダークウイッチ!!」
「ハッ 申し訳ございません」

頭を垂れるダークウイッチの紫に塗られた口元が小さくつり上がる。

純玲の親友だった巻雲綾(マキグモ アヤ)はデスマドーに捕らえられ
エロジームに魔に対する適応能力の高さを見出されると
ジャスリオンと戦う悪の戦士ダークウィッチアヤとして洗脳された。

綾は清らかな心を闇に染められ、エロジームへの忠誠心と絶対服従のシモベとして
赤紫色の支配印紋のメイクを施され、エロジーム好みの衣装を着せられている。
ダークウィッチとメタルカラーのジャスリオンが戦うところは
何も知らない者が見れば、正義の魔法戦士を悪のロボットがいたぶる情景にしか
見えないくらい、清楚で華麗と言う言葉でしか表現できない姿だった。
だが、その愛らしい胸元を飾る邪悪なデスマドーの紋章こそが
彼女が暗黒魔界デスマドーのシモベ、ダークウィッチアヤであることを証していた。

そして綾に掛けられた正体隠蔽の魔法のせいで、純玲もまた
ダークウイッチの正体には気がついていないのだった。

「お前ごときが、どうこうできる施術ではない! ワシが命令するまで!?
  ダークウイッチ、その仮面は何じゃ、何ゆえそのような物を着けておる」
「ハイ なぜか分かりませんが、この者に顔を見られてはいけないような…」
「何を訳の分からんことを言っておる もうよい、下がれっ!」
「ハッ 失礼致します」

立ち去るダークウイッチが口元に浮かべた妖しい微笑みと
自らが施した支配印紋の一部、唇の赤紫が書き換わっている事に
純玲の施術に気をとられていたエロジームは気づいていなかった。



「ただいま戻りました」

顔の半分を隠す真っ白なのっぺら仮面を着けたダークウイッチアヤが
足を組んで腰掛けている人物の前で片膝を折る。

「ご苦労様 ちゃんと私の言いつけどおり出来ましたね」
「ハイ 仰せのとおり、呪文破壊の呪符を…」

笑みを浮かべるアヤの唇が紫に輝く。
それはアヤが目の前の人物の支配を受けている証の色だった。

「ウフフフッ 後はこのマスクを調整して…
  フフ… 今のこと、全て忘れるのよ ダークウイッチアヤ」

立ち上がった人物は自分を見上げ跪いているアヤの顔からマスクを外した。

「ハ…ィ……………ーム…さ…ま…」

アヤの唇が元の赤紫に戻り、虚ろな眼がゆっくりと閉じられる。
そしてアヤが覚醒したとき、紫のローブの人影は消えていた。




「やめ…て… あたまが…あたまがぁぁ……あぁ………あ…」

苦痛に顔を歪めていた純玲の顔が無表情になり瞳が闇色に濁る。

「わたしは…デスマドーの…シモベ……暗黒魔界が…地上を…支配する…お手伝いを…」

純玲が弱々しく漏らした言葉で純玲の心がデスマドーに変わり始めたことを
見取ったエロジームは嫌らしい笑いを浮かべた。

「ヒッヒッヒ そうじゃ、お前はデスマドーのシモベじゃ」
「ハイ…デスマドーのシモベです…」
「そして ワシの、このエロジームの奴隷じゃ」
「わたしは…エロジームさまの…奴隷です…」
「ワシはお前のあるじ 奴隷はあるじの、どのような命令にも服従するのじゃ」
「奴隷は…あるじの命令に…服従します…」
「ヒッヒッヒ 幾つか質問した後で
  先ほどの、無礼な物言いの仕置きをしてやるわい」
「ハイ… ありがとうございます…」

エロジームは虚ろな笑みを浮かべて答える純玲に近づく。

「お前はどのようにして、ジャスリオンに変身するのじゃ」
「…それは……」
「どうした 奴隷はあるじの命令にどうするんじゃ」
「奴隷はあるじの命令に…服従します」
「ならば答えるのじゃ どのようにしてジャスリオンに変身するのじゃ」
「…ハイ…… ポケットの…マジカルクロノブックで…」

エロジームがベタベタと純玲の体にさわり
胸のポケットに収まっていたマジカルクロノブックを取り出した。

「これがジャスリオンの変身アイテム『マジカルクロノブック』じゃな
  で、これをどうするのじゃ」
「ハイ……マジカルクロノブックを胸の前にかざして…」

安心し切ったエロジームが手の平に乗せたマジカルクロノブックを
純玲の胸の前に持って行く。

「こう唱えるのです…」

純玲の口角が邪悪につり上がり。

「オープンクロノブック…  リード…  ジャスリオン!!」

その言葉と同時にマジカルクロノブックが開かれ
光の粒子が溢れ出すと純玲のセーラー服に付着してゆく。
シルバーメタリックに輝くセーラー服は純玲の体に纏わり付くように
その姿を変え、首から下の全てをメタルスーツで覆い尽くすと
頭にはフルフェイスヘルメットが装着された。

ジャスリオンは磔台の拘束を引き千切り、エロジームの前に降り立つと
挨拶代わりのパンチを老博士エロジームの腹に打ち込んだ。

「時空の戦士 魔法機動ジャスリオン、ここに見参!!」
「グエェェェ… ど、どうしてじゃ…
  心をデスマドーに作り変えたハズじゃ グエッ…」
「危なかったわ あと少し、あのまま暗黒魔力を送り込まれていたら
  完全に心をデスマドーに作り変えられていたわよ!!」

自分が暗黒魔力に抗えた本当の理由に純玲が気づくハズも無く
ジャスリオンの怒りの拳はエロジームの顔面を捕らえ
老博士の小さい体は激しく壁に叩きつけられた。

「ゲフッ… お、おのれ小娘… ワシを騙しおったな…
  お前たち! 何をしておる、ジャスリオンを取り押さえるじゃ!!」
「「「マドー!!」」」

エロジームの命令を受けて
壁際で並んで立っていたデスマドー少女隊がジャスリオンを取り囲む。

「みんな止めて!!」
「今度は魔界モンスターに改造してやるわい! やれ、デスマドー少女隊!!」
「「「マドー!!」」」

四方から一斉にパンチや蹴りがジャスリオンに向けて放たれる。
が、ジャスリオンは全ての攻撃を難なくかわす。

「ごめんね… ちょっと痛いけど我慢してね」

ジャスリオンは攻撃してきた少女隊の鳩尾に拳を当て気絶させると
1分もしない内にデスマドー少女隊は床の上で重なりあっていた。

「リード マジックワード『リセット』!!」

床の上に倒れているデスマドー少女隊が魔方陣で囲まれ、光の粒子に包まれると
着せられていた戦闘服が消えてなくなり、元のセーラー服姿の女子高生に戻った。

「やっぱり… デスマドーアイテムで操られていたのね」
「よくも、わしのデスマドー少女隊を!」
「うるさい! 千尋と真奈美先生も返して貰うから!!」
「それはどうかのぉ ヒッヒィ この2人は特別じゃからな、行け!」
「ふん! 負け惜しみ言っちゃって
  リード マジックワード『リセット』!!」

エロジームの命令で身構える千尋と真奈美に
ジャスリオンはデスマドー少女隊を開放した魔法呪文を唱える。
がしかし、光に包まれた2人の姿に変化は現れなかった。

「エッ!? どうして!!」
「ヒッヒィ 言ったはずじゃ、2人は特別じゃと」

エロジームの両手が黒い光を放つと
千尋と真奈美の全身に赤紫の支配印紋が浮かび上がる。

「支配印紋!! エロジーム、千尋と真奈美先生にそんな高位魔法を…
  そんな高位魔法に2人の体が耐えられるはずがないでしょう!!」
「ヒッヒッヒ ならば、お前が大人しく捕まればいいだけじゃ
  奴隷として仕える程度の魔力ならば、この2人も壊れんわい。
   じゃが、お前が抵抗すると言うなら ヒッヒ…」
「あぁ…」

エロジームの手の光が増し、大量の魔力が千尋と真奈美に送り込まれると
2人が苦悶の表情を浮かべた。

「ダメッ!! 止めて、エロジーム!
  わ、分かったから… 大人しく捕まるから、千尋と真奈美先生にそれ以上…」
「ヒヒッ 他愛無いのぉ お前たち、ジャスリオンを捕らえるのじゃ」
「「ハイ エロジーム様」」

千尋と真奈美はジャスリオンに歩み寄り、両手をしっかり掴んだ。

「何をしておる、ジャスリオン お前は元の姿に戻らんか!!」
「千尋、真奈美先生 ちょっとだけ我慢してね
  リード マジックワード『オーバーロード』!!」
「「キヒィ!」」

白い雷撃に包まれた千尋と真奈美の体がガクガクと震える。

「なっ! 何を考えておるのじゃ、ジャスリオン!!」
「一瞬で決めないと2人の体が危ないのに…
  2人一緒にオーバーロードされるにはやっぱりパワーが足りない」
(リミッター解除… 2人を助けるにはこれしか でもこのワードは…)
「ヒヒッ ヒィヒッヒ 一度に大量の魔力を送り込んで
  オーバーロードさせるつもりじゃったか…
   じゃが、そうはいかなんだようじゃな ジャスリオン」
「ええい、迷ってる暇はない!!
  リード シークレットワード『リミッターキャンセル』!!」
「なんじゃと!」

ジャスリオンの全身が白く輝き
千尋と真奈美を包み込んでいる雷撃が激しくなった。

「「ギャヒィィ」」

ビクンと大きく仰け反った千尋と真奈美が力なくその場に崩れ落ちると
全身の支配印紋が蒸発したように消え、纏っていた戦闘服が元の衣服に戻った。

「千尋! 真奈美先生!」

呼びかけに小さく声を漏らした2人に
胸を撫で下ろした純玲は腰のソードユニットを掴んだ。

「リード 『ジャスリオンブレード』!!」

ユニットに青白い光の刃が生まれ、纏っているジャスリオンスーツの
パワーがジャスリオンブレードに集束される。
そしてリミッター解除されたジャスリオンパワーが、ブレードの刃を青から紅蓮に変えた。

「絶対許さないからね、エロジジィィ!!」

壁の隅に逃げ込んで、両手を顔の前でクロスさせたエロジームが怯えて命乞いをする。

「や、止めるんじゃ! 取引じゃ、取引しようではないか」
「リード マジックワード『キャプチャー』!」

宙に浮かぶように現れた白い十字架にエロジームの体が固定される。

「ま、待て、やめろ! 命だけは、命だけは助けてくれ!!」
「問答無用!! 閃け、ジャスリオンブレード!!」
「やめろォォォウギャァァァ」

エロジームの体は瞬時にシャボン玉のように弾け、光の粒子となって消滅した。

「ふぅぅ… 千尋、真奈美先生、みんな!」

床で倒れているクラスメートに回復魔法を施そうと純玲が足を踏み出したとき

― マジカルパワーオーバーロード システムダウン ―

「エッ?」

ヘルメットの内部に音声が響き、目の前が真っ暗になると
いつもなら解除呪文で光の粒子となり解除されるジャスリオンスーツが
純玲の体の上で透明になり、消えてしまった。

「な、なに? どうして勝手に変身が…
  マジカルパワーオーバーロードって システムダウンって何よ…」

手の上で辛うじて形を留めているが
マジカルクロノブックは燃え尽きた灰のようになっていた。

「まさか… うそでしょう…
  オ、オープンクロノブック…  オープンクロノブック!」

純玲の言葉にマジカルクロノブックは全く反応する気配はない。

「パワーを使い過ぎたってこと?
  マジカルパワーもオーバーロードしちゃったの?」

床の上に崩れ落ちる純玲の頬を涙が伝う。

「そんな… どうすんのよ…
  これからどうやってデスマドーと戦うのよォ!!」





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